勘定科目の分類

会計にはとても多くの勘定科目が登場します。現金 普通預金 売掛金 商品 事業主貸 買掛金 未払金 事業主借 元入金 売上 仕入 水道光熱費 旅費交通費 通信費 消耗品費…ここには書ききれないくらい多くの勘定科目があります。

これらの勘定科目は必ず 資産 負債 純資産 費用 収益 のいずれかに分類されます。

資産負債
純資産
費用収益

会計のロジックは これら 5 つの分類の性質に応じて金額を加減算することで成り立っています。勘定科目というのは人が管理しやすくするためのラベルであって実は会計ロジックには影響していないのです。

たとえば 切手を購入したときには 通信費 で仕訳をするのが一般的ですが これを 消耗品費 として仕訳してしまっても特に困ることはありません。通信費 消耗品費 いずれも 費用 に分類されている勘定科目です。費用 に分類されている勘定科目であればどれを使っても 費用 経費 として計上されるということに違いはないのです。

仕訳をするときには 資産 負債 純資産 費用 収益 の分類さえ正しく選択できていれば その細分類である勘定科目が多少違っていても大きな問題にはなりません。損益計算書 貸借対照表で集計される科目が多少変わるだけで損益や貸借の合計自体には影響しないからです。

とは言え 勘定科目には 誰が会計帳簿を見ても事業の状況や健全性を把握できるようにする というラベルとしての役目がありますから なるべく 世間一般で共通して使われている標準的な勘定科目を使うように心掛けたほうが良いのは確かです。勘定科目の選択に迷ったときには神経質になりすぎる必要はない くらいの気持ちでいれば楽だと思います。

事業主借は負債ではなく純資産です

前置きが長くなってしまいました。ようやく本題です。

資産 負債 純資産 費用 収益 の分類さえ正しければ 細分類である勘定科目はさほど重要ではないことを説明してきました。

ところが 世の中やっかいなものでして。5 つのどの分類に属しているのかさえ人によって判断が分かれてしまっている勘定科目があるというのです。それが 事業主借 です。

  • 事業主借は負債に分類される勘定科目です
  • 事業主借は純資産 資本 に分類される勘定科目です

ウェブ上のいくつかのサイトを見ても このように意見が割れています。

負債に分類されるという主張

事業主貸 資産 に分類されるので その対となる 事業主借 負債 に分類されるはず といった意見が多いようです。

純資産 資本 に分類されるという主張

私は 事業主借 純資産 資本 に分類されるべきと考えています。その理由を説明していきましょう。

理由その 1

負債 純資産 資本 の違いを確認してみます。

  • 負債は返済義務がある他人から調達した資金 他人資本
  • 資本は返済義務がない自己調達した資金 自己資本 株主資本

なるほど。事業主借は紛れもなく自己 事業主自身 から調達した資金ですよね。返済の義務もありません。この 負債 純資産 資本 の違いに着目すれば 事業主借 純資産 資本 に分類されるということになりそうです。

事業主借は返済できない
いずれは事業主借を返済したいと考えている人もいるかもしれませんが 残念ながら事業主借を返済することはできません。なぜなら 事業主借は貸方にしか出てこない勘定科目だからです。事業資産を個人に移すときは借方勘定に事業主貸を使います。そのため 事業主借も事業主貸も会計期中に減少することはありません。事業主借は増える一方ですから返済 減少させること はできないということになります。

理由その 2

事業主借と事業主貸は決算後にリセットされ 翌期にはまた 0 から始まります。単純に 0 になるだけでは会計の連続性が失われてしまいますから これらの金額は他の何かに移動しているはずです。

その移動先が翌期の元入金です。事業主借は翌期には元入金に加算されます。事業主貸は元入金から減算されます。

元入金の分類は 純資産 です。翌期に 純資産 分類である元入金に算入されるのであれば 事業主借も 純資産 に分類されているべきです。負債 が翌期には 純資産 に移るというのは不自然ですからね。

理由その 3

国税庁の青色申告決算書 4 ページの貸借対照表を見てみましょう。事業主借がどこに印字されているか探してみてください。

ありました。ここです。

負債 資本の部 元入金の直前に印字されていますね。隙間なく下側に寄せて印字されていることから 国税庁も事業主借を 資本 として位置付けていると言えるのではないでしょうか。

以上 3 つの理由により 事業主借 勘定科目は 純資産 資本 に分類されると判断できます。

aoiro の既定の勘定科目でも 事業主借 資本 に分類してあります。