このページでは仕訳と勘定科目について説明していきます。

取引を借方勘定と貸方勘定に分けて記録していくことを仕訳と言います。何かと何かを交換する取引をしたら仕訳をします。ボールペンなどの消耗品を購入するのも取引です。108 円のボールペンを現金で購入した場合 108 円の消耗品を受け取って 現金 108 円を相手に渡す という消耗品と現金の交換をしているわけです。


仕訳には 日付 摘要 借方勘定 貸方勘定 金額 5 つの項目を入力する必要があります。

項目 説明
日付取引の発生した日付を入力します。
摘要任意のメモを入力できる備考欄です。消耗品費であれば商品名 売上であれば売上先 得意先 の名前を入れておくと分かりやすいです。
借方借方の勘定科目と金額を入力します。
貸方貸方の勘定科目と金額を入力します。
金額借方と貸方それぞれに金額を入力しますが 借方と貸方の金額は必ず一致します。

元入金

元入金 もといれきん は法人の会計には出てこない個人事業主専用の勘定科目です。元入金は法人の資本金のようなものですが 資本金とは異なり会計年度ごとに金額が変動していきます。法人の資本金は増資 減資をしない限り会計年度が変わってもずっと一定です

個人事業主の仕訳は 毎期 必ず 元入金 から始まります。

今年から事業をはじめた人

元入金を意識しないといけないのは事業を開始する初年度です。事業を開始するときには事業用に現金を用意したり 事業用の銀行口座 通帳 を作ったりしますよね。この事業を始めるために用意した現金や預金などを元入金と言います。

たとえば 事業を始めるために銀行口座 普通預金口座 を開設して 100,000 円を用意した場合の仕訳は次のようになります。

借方貸方
普通預金100,000 元入金100,000

さらに 現金で 50,000 円を事業用に準備していた場合は次の仕訳も作成します。

借方貸方
現金50,000 元入金50,000

上記 2 件の仕訳を aoiro の仕訳データ( .yml )として入力すると以下のようになります。

元入金 仕訳の例
- 日付: 2018-01-01 摘要: 元入金 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 100000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 元入金, 金額: 100000 } ] - 日付: 2018-01-01 摘要: 元入金 借方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 50000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 元入金, 金額: 50000 } ]
  • 年の途中から事業を開始した場合の日付は 1 1 日ではなく実際に事業を開始した日でも構いません。2 年目以降は個人事業主の会計期間は必ず 1 1 日~12 31 日になるので 2 年目以降の元入金仕訳の日付は 1 1 日になります。

  • 摘要には備考やメモとして任意の文字を入力することができます。

  • 借方と貸方の勘定科目には任意の文字を入力できるわけではありません。登録されている勘定科目を入力する必要があります。

  • 金額はカンマなしで入力します。

次年度の元入金は自動で作成されます
aoiro を使って決算処理をすると 次年度の開始仕訳(元入金)データが自動的に作成されます。手作業で元入金を入力しないといけないのは はじめの 1 回だけですから頑張りましょう!

以前から事業をしていて 今年から青色申告 複式簿記 をはじめる人

事業をすでに始めていて年をまたいでいる人の元入金仕訳は少し難しいです。まずは 1 1 日時点での現金残高 通帳残高 売掛残などを調べる必要があります。

借方貸方
普通預金630,800 元入金630,800
借方貸方
現金35,240 元入金35,240
借方貸方
売掛金756,000 元入金756,000

他にも 1 1 日時点での買掛金や期末商品棚卸高も元入金になります。繰り越される資産と負債が翌年度の元入金になります。上記の仕訳例を aoiro の仕訳データ .yml として入力する場合は以下のようになります。

元入金 仕訳の例
- 日付: 2018-01-01 摘要: 元入金 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 630800 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 元入金, 金額: 630800 } ] - 日付: 2018-01-01 摘要: 元入金 借方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 35240 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 元入金, 金額: 35240 } ] - 日付: 2018-01-01 摘要: 元入金 借方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 756000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 元入金, 金額: 756000 } ]

少し大変ですが元入金の仕訳の入力が済んでしまえば あとは日々の取引を仕訳として入力していくだけですからサクサクと進んでいきます。がんばりましょう。

ここからは楽しい経費の仕訳を説明していきます。経費の仕訳を入力していく度に納める税金が減っていくわけですからね きっと仕訳の手間よりも嬉しい気持ちが勝るはずですよ。

消耗品費

事業に使うために購入したボールペンやコピー用紙などの文房具や事務用品 プリンターのトナーなどは消耗品費になります。また パソコンやプリンターなども 10 万円未満であれば消耗品費にできます。10 万円を超える場合は後で説明します

事業用の現金で 108 円のボールペンを購入した場合

借方貸方
消耗品費108 現金108
消耗品費/現金
- 日付: 2018-02-05 摘要: ボールペン 借方: [ { 勘定科目: 消耗品費, 金額: 108 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 108 } ]

クレジットカードでプリンターを購入して普通預金口座から引き落とされた場合

クレジットカードでプリンターを購入して事業用の普通預金口座から代金が引き落とされた場合は以下のようになります。

借方貸方
消耗品費19,931 普通預金19,931
消耗品費/普通預金
- 日付: 2018-03-26 摘要: プリンター 借方: [ { 勘定科目: 消耗品費, 金額: 19931 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 19931 } ]

日付を 購入日ではなく クレジットカードの引き落とし日にするのがポイントです。

クレジットカードの場合は商品を購入した日ではなく 1~2 ヵ月後に代金が口座から引き落とされたりしますよね。商品を購入した日には代金を支払っていないわけですから 厳密には 商品購入日に 消耗品費/未払金 という仕訳を作成して 引き落し日に 未払金/普通預金 という仕訳を作成する必要があるのですが…。

よほど高額でない限り未払金勘定を使わずに 1 つの仕訳で済ませてしまっても大丈夫です。

個人のお財布からお金を出した場合

事業用に管理している現金ではなく 個人のお財布からお金を出して事業に使う消耗品を購入することもありますよね。このときは 現金 勘定ではなく 事業主借 じぎょうぬしかり という勘定科目を使います。事業主借 は法人会計にはない個人事業主専用の勘定科目です。

事業用の現金を使わずに個人のお財布から 108 円出してボールペンを購入した場合

借方貸方
消耗品費216 事業主借216
消耗品費/事業主借
- 日付: 2018-02-12 摘要: ボールペン2本 借方: [ { 勘定科目: 消耗品費, 金額: 216 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 216 } ]

個人のお財布から現金を出した場合だけでなく クレジットカードで購入して 事業用の銀行口座ではなく 個人の銀行口座から引き落とされる場合も事業主借を使います。個人のクレジットカードを使って 事業主借 で仕訳する場合の日付は購入日にしておくと レシートの日付と一致して分かりやすいです。

現金 勘定科目を一切使わない方法もあります
対面販売などでお客さんにお釣りを渡さなければならない場合は事業用の現金を用意しなければなりませんが IT フリーランスやアフィリエイターのような仕事では事業用の現金を用意しなくても済むケースが多いです。消耗品費などの経費はすべて個人のお財布から出して事業主借で仕訳します。外注先への支払なども事業用口座からの振り込みで対応できれば 現金 勘定科目は必要ありません。

事業内容にもよりますが 支出はなるべく事業主借を使うようにすると煩雑になりがちな現金管理の手間をなくすことができます。

私の場合 事業用の現金ポジションは常に 0 仕訳には一切 現金 勘定科目が出てきません。現金を用意せず普通預金のみを元入金にして事業を開始しました。

旅費交通費

事業に使用した電車賃や宿泊費は 旅費交通費 勘定科目を使って仕訳します。

事業用の現金で切符を購入した場合

在来線の切符購入など少額の支出であれば領収証やエビデンスは不要です。乗換や往路 復路で 1 日に複数の切符を購入することも多いと思います。これらを 1 件ずつ仕訳入力するのも大変です。1 日分まとめて 1 件の旅費交通費の仕訳にしてしまっても問題ありません。

ホテルに宿泊した場合や新幹線を使った場合 発行された領収証は保管しておきましょう。

借方貸方
旅費交通費340 現金340
旅費交通費/現金
- 日付: 2018-02-19 摘要: 〇△株式会社打合せ 借方: [ { 勘定科目: 旅費交通費, 金額: 340 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 340 } ]

個人のお財布からお金を出して切符を購入した場合

消耗品費と同じく 個人のお財布からお金を出した場合は 事業主借 勘定を使います。

借方貸方
旅費交通費340 事業主借340
旅費交通費/事業主借
- 日付: 2018-02-19 摘要: 〇△株式会社打合せ 借方: [ { 勘定科目: 旅費交通費, 金額: 340 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 340 } ]

Suica PASMO でチャージした場合

最近は切符を買わずに Suica PASMO などの交通系 IC カードを利用することが多いですよね。Suica PASMO にチャージした場合はチャージした日付で旅費交通費の仕訳を作成します。厳密にはチャージ残高はまだ旅費交通費として使われておらず 前払金 などの勘定科目を使って資産にしておかなければならないのですが チャージ金額はせいぜい 1 万円程度と少額ですからね。遠からず 旅費交通費として使うわけですしチャージした時点で全額を旅費交通費として経費計上しても問題ないでしょう。

事業用の Suica を用意しよう
プライベートな利用と明確に分けるために事業専用の Suica PASMO を用意しましょう。
借方貸方
旅費交通費10,000 事業主借10,000
旅費交通費/事業主借
- 日付: 2018-02-19 摘要: Suicaチャージ 借方: [ { 勘定科目: 旅費交通費, 金額: 10000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 10000 } ]

通信費

電話料金やインターネット回線料金 プロバイダー料金 切手代などの支出は 通信費 になります。

電話やインターネット回線をプライベートでも使用している場合は料金全額を事業の経費として計上することはできません。事業に使用した割合だけを経費にすることができます。この事業での使用割合に応じて経費を計上することを家事按分と言います。

aoiro では家事按分の設定に応じて自動的に振替仕訳を作成してくれるので 普段 仕訳を入力するときには事業使用割合を気にせずに単純に支出した金額を入力していきます。

フレッツ光の料金を毎月 3,834 円支払っていて 事業での使用割合 70% プライベートでの使用割合 30%だとしましょう。

このとき 支払った金額 3,834 円をそのまま仕訳として入力します。

借方貸方
通信費3,834 事業主借3,834
通信費/事業主借
- 日付: 2018-02-24 摘要: NTT東日本 借方: [ { 勘定科目: 通信費, 金額: 3834 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 3834 } ]

決算処理時に 12 31 日の日付で家事按分の振替仕訳が自動的に作成されて 3,834 円 × 30% 個人使用分 = 1,150 円 が通信費から減じられるようになっています。事業使用割合の設定については家事按分で説明します。

租税公課

事業で税金を収めた場合は 租税公課 そぜいこうか の勘定科目を使います。よく使うのは収入印紙でしょうか。収入印紙は見た目が切手に似ていますが通信費や消耗品費ではなく租税公課になります。

事務所の固定資産税や事業税も租税公課です。

所得税や住民税は事業としてではなく個人として納めるものなので事業経費として計上することはできません。租税公課として仕訳をしてはいけません

200 円の収入印紙を個人のお財布からお金を出して購入した場合

借方貸方
租税公課200 事業主借200
租税公課/事業主借
- 日付: 2018-02-24 摘要: 収入印紙 借方: [ { 勘定科目: 租税公課, 金額: 200 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 200 } ]

収入印紙をまとめ買いすることもありますよね。この場合も まとめて租税公課で仕訳してしまって構いません。厳密には未使用分は 貯蔵品 などの勘定科目で仕訳して資産にしておかないといけないのですが常識的な範囲であれば問題ないでしょう。

年度末に経費を増やしたくて使うアテもないのに収入印紙を 1,000 枚も購入するなんてダメですよ。絶対。

水道光熱費

電気料金 ガス料金 水道料金は 水道光熱費 勘定科目になります。

個人のお財布や個人の銀行口座から支払った場合

借方貸方
水道光熱費6,248 事業主借6,248
借方貸方
水道光熱費5,469 事業主借5,469
借方貸方
水道光熱費1,554 事業主借1,554
水道光熱費/事業主借
- 日付: 2018-02-13 摘要: 水道料金 1~2月分 借方: [ { 勘定科目: 水道光熱費, 金額: 6248 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 6248 } ] - 日付: 2018-02-18 摘要: 電気料金 2月分 借方: [ { 勘定科目: 水道光熱費, 金額: 5469 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 5469 } ] - 日付: 2018-02-19 摘要: ガス料金 2月分 借方: [ { 勘定科目: 水道光熱費, 金額: 1554 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 1554 } ]

水道光熱費もプライベートと事業で共用している場合は家事按分する必要があります。

地代家賃

事務所の家賃や共益費などは 地代家賃 ちだいやちん になります。所有しているマンションを事務所として使用している場合のマンション管理費や修繕積立金も地代家賃で構いません。修繕積立金については 修繕費 という勘定科目のほうが適しているかもしれませんが 地代家賃 修繕費 も費用分類ですから 一貫して同じ勘定科目を使い続けるのであればどちらでも問題ありません。

私の場合は マンションの管理会社が管理費と修繕積立金の合計金額をまとめて口座から引き落としているので 勘定科目を分けずに 地代家賃 を使っています。管理費と修繕積立金の集金が分かれている場合は修繕積立金には 修繕費 勘定科目を使ってもいいかもしれませんね。
賃貸の場合は家賃を経費にすることができますが 建物を所有している場合のローン返済額は経費にできません。建物を所有している場合は代わりに建物の減価償却費を計上することができます。

事務所の賃料を事業用口座から引き落とした場合

借方貸方
地代家賃88,000 普通預金88,000
地代家賃/普通預金
- 日付: 2018-02-26 摘要: 事務所賃料 借方: [ { 勘定科目: 地代家賃, 金額: 88000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 88000 } ]

管理費と修繕積立金 合計 19,010 を個人の口座から引き落とした場合

借方貸方
地代家賃19,010 事業主借19,010
地代家賃/事業主借
- 日付: 2018-02-26 摘要: マンション管理費と修繕積立金 借方: [ { 勘定科目: 地代家賃, 金額: 19010 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 19010 } ]

地代家賃もプライベートと事業で共用している場合は家事按分する必要があります。

接待交際費 会議費

取引先との飲食など事業として支出したものは 接待交際費 会議費 になります。

法人の場合 1 人あたりの飲食代が 5,000 円以下の場合は交際費にあたらない 交際費は損金算入できる上限が決まっている などルールが細かく決められており 接待交際費 会議費 をしっかりと分ける必要があります。

個人事業主には法人のような制約はないので 接待交際費 会議費 どちらを使うかあまり気にする必要はありません。確定申告書 B 決算書の既定の科目には 会議費 はありませんし すべて 接待交際費 にしてしまっても良いと思います。

また 個人事業主が飲食代を全額負担するということはあまりないと思います。取引先の会社が全額出してくれたり せいぜい割り勘でしょうか。取引先の会社が飲食代を出してくれた場合は当然 経費にはできません。割り勘の場合は幹事が精算してしまっているのでレシートをもらえないということも多いですよね。この場合 幹事に渡した自分の飲食代については接待交際費や会議費として経費計上することができます。

レシートや領収証がない場合は?
レシートや領収証がない場合は自分で出金伝票を書くか もしくは忘れないうちに仕訳を入力します。後から見直したときにちゃんと分かるように仕訳の摘要を記入しているのであれば レシート 領収証 出金伝票はなくても構いません。これは飲食代に限らず消耗品費などにも当てはまります。レシートを失くしてしまったから経費計上できない! なんてことはないので安心してください。

取引先とお酒の席で打ち合わせ 割り勘分を個人の財布から支出した場合

借方貸方
会議費5,000 事業主借5,000
会議費/事業主借
- 日付: 2018-03-04 摘要: 〇△株式会社と次期××開発について打合せ 借方: [ { 勘定科目: 会議費, 金額: 5000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 5000 } ]

事業主借

ここまでに何度か登場した 事業主借 じぎょうぬしかり は個人事業主の会計でしか使われない専用の勘定科目です。事業で使うものを事業主個人が支出した場合に使います。

例としては 事業の運転資金として個人のお金を事業用の銀行口座に追加した場合が分かりやすいでしょうか。この場合は以下のような仕訳になります。

個人のお金 20 万円 を事業用の口座に入金した場合

借方貸方
普通預金200,000 事業主借200,000
普通預金/事業主借
- 日付: 2018-03-04 摘要: 入金 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 200000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 200000 } ]

個人のお金を事業用に管理している現金に移して 事業用の現金を使ってパソコンを買う場合は以下のようになります。

個人のお金を事業用現金にしてからパソコンを購入する

借方貸方
現金32,169 事業主借32,169
借方貸方
消耗品費32,169 現金32,169
現金/事業主借
- 日付: 2018-03-05 摘要: 事業用の現金補充 借方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 32169 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 32169 } ]
消耗品費/現金
- 日付: 2018-03-05 摘要: パソコン 借方: [ { 勘定科目: 消耗品費, 金額: 32169 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 32169 } ]

すぐに消耗品費として支出するのなら 一旦 事業用に管理している現金に移す必要もありませんよね。個人のお財布からお金を出して消耗品を購入したのであれば以下のように直接 消耗品費/事業主借という仕訳を起こせば十分です。

借方貸方
消耗品費32,169 事業主借32,169
消耗品費/事業主借
- 日付: 2018-03-05 摘要: パソコン 借方: [ { 勘定科目: 消耗品費, 金額: 32169 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 32169 } ]

この仕訳では 現金 普通預金 も出てきません。個人のお金か何かで消耗品費を購入した ということが分かるだけです。事業用に管理している銀行口座や現金を使っていないので 個人として支出したのが現金か普通預金かという支払方法は事業視点では関係ありません。

事業用の現金や銀行預金を使わずに 個人が支出したときは支払方法がなんであれ 事業主借 を使います。もちろん 消耗品費に限らず 旅費交通費などにも使えます。なるべく事業用の現金は用意せずに事業主借を使うのがおすすめです。銀行口座であれば通帳記帳で流れを追うことができますが 現金は流れを追うのが難しく事業用として管理している現金残高が一度合わなくなると その原因を探すのは難しいです。事業用の現金を一切持たなければ管理が楽になります。

事業主借もちゃんと経費になっています
事業主借を使って個人でお金を払うと事業の経費にならないんじゃないの? と思うかもしれませんがご心配なく。事業主借で仕訳を入力しても ちゃんと経費になっています。

プライベートなお金が事業用口座に入金されてしまった場合も事業主借を使います。たとえば事業用の普通預金にも利息が付くことがありますよね。この利息は事業収益ではなく個人のお金として扱います。利息は税引き後の金額が振り込まれるので収入ではなく課税済みの所得になります。つまり 個人のお金 課税済みの所得 が事業用の口座に入ったということになります。

事業用口座に利息が付いた場合

借方貸方
普通預金12 事業主借12
普通預金/事業主借
- 日付: 2018-03-05 摘要: 利息 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 12 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 事業主借, 金額: 12 } ]

所得税の還付金などは個人の銀行口座に振り込んでもらうのが良いと思いますが 誤って事業用の銀行口座に振り込まれてしまった場合も 普通預金/事業主借 を使います。

事業主貸

事業主貸 じぎょうぬしかし 事業主借 の逆です。事業用に管理している現金や預金をプライベートに使った場合は 事業主貸 勘定を使います。

消耗品費などの経費支出に事業主借を使っていると事業用の預金残高はほとんど減ることがなく 事業が順調なら 売上の入金で預金残高は増える一方ですよね? 事業用の口座にある預金を 生活費など個人のお金として移動させた場合に事業主貸を使います。

事業用の口座から生活費として 30 万円を引き出した場合

借方貸方
事業主貸300,000 普通預金300,000
事業主貸/普通預金
- 日付: 2018-03-25 摘要: 生活費 借方: [ { 勘定科目: 事業主貸, 金額: 300000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 300000 } ]

現金として引き出した場合だけでなく生活用のプライベートな銀行口座に振り込みをした場合も同じ 事業主貸/普通預金 仕訳になります。ATM 手数料や振り込み手数料がかかった場合も同じ仕訳です。30 万円を引き出すときに 324 円の手数料がかかった場合は以下のような仕訳になります。

事業用の口座から生活費 30 万円を引き出したときに手数料がかかった場合

借方貸方
事業主貸300,324 普通預金300,324
事業主貸/普通預金
- 日付: 2018-03-25 摘要: 生活費 借方: [ { 勘定科目: 事業主貸, 金額: 300324 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 300324 } ]

このときにかかった手数料は事業とは関係ないので手数料として意識する必要はなく普通預金が減った分だけ全額 事業主貸 とします。売掛金の入金や外注費支払いなど事業で振込手数料が掛かった場合は経費になります

他にも個人的なものを誤って事業用口座から支出してしまった場合にも事業主貸を使います。たとえば プライベートな買い物に事業用のクレジットカードを使って事業用の口座から代金が引き落とされてしまった場合などです。

事業用の口座から個人的な支出をした場合

借方貸方
事業主貸32,184 普通預金32,184
事業主貸/普通預金
- 日付: 2018-03-12 摘要: 個人的な通販 借方: [ { 勘定科目: 事業主貸, 金額: 32184 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 32184 } ]

個人的な買い物だけでなく 国民年金や国民健康保険料を事業用口座から引き落とすようにしている場合も 事業主貸/普通預金 で仕訳をします。

個人的な支出を細かく仕訳入力していくと事業としての帳簿の見通しが悪くなってしまいますから なるべく生活費としてまとめて出金か振り込みをして 個人的な支出は個人の銀行口座からするように心掛けましょう。間違って事業用口座から個人的な支出をしてしまった場合でも支出してしまった事実を訂正する必要はなく正しく事業主貸で仕訳を付ければ問題ないということを覚えておいてください。

売上と売掛金

売上に関連する仕訳を確認しておきましょう。

モノの販売やサービスの提供をしたときには売上を計上する仕訳を入力します。このときに代金を現金で受け取っていた場合には以下のような仕訳になります。

木彫りの人形を 540 円で現金販売した場合

借方貸方
現金540 売上540
現金/売上
- 日付: 2018-03-13 摘要: 木彫りの人形 借方: [ { 勘定科目: 現金, 金額: 540 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売上, 金額: 540 } ]

私自身は IT フリーランスなのでこのような現金取引をしたことはありません。基本的には月末納品 翌月末支払いといった条件で掛売をしています。掛売をしている場合は 代金を受け取った時点ではなくモノを納品した時点で売上を計上するのが一般的です。

売上を計上する 仕訳を入力する 時点ではまだ代金を受け取っていないので 売上債権として扱います。このときに使う勘定科目が 売掛金 です。

開発したソフトウェアを納品して売上を計上する場合

摘要には売上先の名前を入れておくと仕入帳や総勘定元帳を見たときに分かりやすいです。

借方貸方
売掛金216,000 売上216,000
売掛金/売上
- 日付: 2018-03-31 摘要: 〇×株式会社 借方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 216000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売上, 金額: 216000 } ]

納品したソフトウェアの売掛金が入金された場合

そして 請求書を発行して代金が振り込まれたら 以下の仕訳を起こします。こちらも摘要に売上先の名前を入れておくと仕入帳や総勘定元帳を見たときに分かりやすいです。

借方貸方
普通預金216,000 売掛金216,000
普通預金/売掛金
- 日付: 2018-04-30 摘要: 〇×株式会社 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 216000 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 216000 } ]

売上を計上したときの仕訳と入金されたときの仕訳を並べると次のようになります。

借方貸方
売掛金216,000 売上216,000
借方貸方
普通預金216,000 売掛金216,000

売掛金が借方 と貸方 1 回ずつ出現して相殺されるように見えますよね。総勘定元帳で確認してみると 売掛金の残高は 0 普通預金は +216,000 売上合計も +216,000 になっていることが分かります。売上と入金で 2 回に分けて仕訳を入力しても普通預金の残高がおかしくなったり 売上が二重になってしまうことはありません。

入金の際に振り込み手数料が引かれていた場合

売掛金 216,000 円が振り込まれる日 ワクワクしながら通帳記帳をしてみたら…なぜか 215,352 円しか振り込まれていなかったということもあり得ます。取引先が振込手数料 648 円を差し引いて 216,000 円 - 648 円 = 215,352 円を振り込んできたというパターンです。

借方貸方
普通預金215,352 売掛金215,352

このように 実際に振り込まれた金額の仕訳を入力するだけでは不十分です。上記の仕訳入力だけでは不足している 648 円がずっと売掛残として残ってしまいます。売掛金よりも振込金額が少なかった場合は その差額を 支払手数料 という勘定科目で仕訳をする必要があります。

売掛金 216,000 円に対して 215,352 円の振り込み 648 円の不足 だった場合は以下のように仕訳をします。

借方貸方
普通預金215,352 売掛金215,352
借方貸方
支払手数料648 売掛金648
普通預金/売掛金 支払手数料/売掛金
- 日付: 2018-04-30 摘要: 〇×株式会社 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 215352 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 215352 } ] - 日付: 2018-04-30 摘要: 〇×株式会社 借方: [ { 勘定科目: 支払手数料, 金額: 648 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 648 } ]
複合仕訳
ここでは 2 つの仕訳に分けていますが 複合仕訳を使うと普通預金 支払手数料/売掛金 を 1 つの仕訳で入力することができます。複合仕訳にすると 売掛金 216,000 円が普通預金 215,352 円と支払手数料 648 円に分かれたことを明確に表すことができ 仕訳帳の表示もまとまって見やすくなります。

複合仕訳の詳細については別途説明しますが 上記の例を複合仕訳を使って入力するとどうなるのかを以下に示します。

普通預金・支払手数料/売掛金(複合仕訳)
- 日付: 2018-04-30 摘要: 〇×株式会社 借方: [ { 勘定科目: 普通預金, 金額: 215352 }, { 勘定科目: 支払手数料, 金額: 648 } ] 貸方: [ { 勘定科目: 売掛金, 金額: 216000 } ]

難しくないですよね。2 つの仕訳を合成しただけです。ここでようやく 借方と貸方のカッコが [ ]{ } 2 重になっている理由が分かります。外側のカッコ [ ] は配列を表しており その中には勘定を複数並べて書くことができます。内側のカッコ { } はそれぞれが 1 つの勘定を表しており その中に勘定科目と金額を書きます。

複合仕訳の場合も借方勘定の合計金額と貸方の合計金額が一致するというルールは変わりません。売掛金が貸方金額として 216,000 になるので分かりやすいですね。複合仕訳を使わない場合は 215,352 円の仕訳と 648 円の仕訳に分かれてしまうので それぞれの金額を見ても何の売掛金だったかな?とすぐにはピンと来ないかもしれません。

それって本当に振込手数料?
売掛金の振込金額が数百円少ないくらいなら振込手数料と思って勝手に仕訳してしまいましょう。数百円ではなくもっと大きな金額が引かれていて理由が分からない場合には きちんと取引先に問い合わせてみたほうがいいですよ。取引先が振込金額を間違ってしまうこともありますから。